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※推して知るべし-2-と話が繋がっています。先にそちらをお読みください。
「――それで、お前は肩たたき機を買ってやったわけか」
本を返しに来た日から数日が経ち、報告もかねて弘樹がまた家に来た。
「どうだ!俺だってやればできる!」
「なんでもいいが、肩たたき機か……」
なんとなく、彼は自分のためというよりも二人で使いまわせる便利グッズを選んだように思えてならない。
どこまでも弘樹中心だなという言葉は、贈り物を買えた喜びを損ねないように飲み込んだ。
「欲しいもんだったんだから、きっと嬉しいだろ!」
俺だったら嬉しいしな、とにこにこにやにや気味悪い笑みを浮かべて弘樹がコーヒーを啜った。
そんな上機嫌の弘樹を見ながらふと気づく。
本当に欲しいものはモノじゃないんじゃないか?
俺もどちらかというと物には興味が無いほうだからなんとなく彼の欲しいものの検討がついてしまった。
「本当にお前はそれでいいのか?」
「どういう意味だよ?」
例えば、弘樹が美咲で、彼が俺なら。
俺が美咲に求めるものは、モノなんかじゃないだろう。
「彼はきっとプレゼントなんかより別のものが欲しいんじゃないのか?」
「なんだよ、それ」
多忙な美咲に俺が求めるものといえば、ただひとつ。
「時間だよ」
「時間?」
案の定、弘樹は意味がわからなかったようでぽかんとしている。
「そろそろ美咲がバイトから戻ってくる。さっさと退散しろ」
「は?なんだよ急に」
「いいから」
渋る背中を押しながら、今頃いつまでも帰ってこない弘樹を思って悶々としている彼の顔が浮んだ。
「帰って、飯食って、風呂入って、たわいもない話でもしてやれ」
好きな人と一緒にいられること。
それがどんなに嬉しいことか、彼はもう知っている。
<11/07/31>
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