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「はい、お誕生日プレゼントです」
おめでとうございます!と渡されたのは、ずいぶん前から欲しかった時計。
「これ欲しかったやつじゃねーか!でも、お前、これ高かっただろ……」
「頑張って溜めました。ヒロさんがいつ自分で買ってしまうかヒヤヒヤしましたけど」
ずっと使ってきた時計は、最近調子が悪くなって修理にだしていた。
携帯ばかりみて時間を知るわけにも行かなかったので、そろそろ買い時かと思っていた矢先の気の利いたプレゼントだった。
「さんきゅな。大事にする」
「喜んでもらえたなら、嬉しいです」
改めて礼を言うと、野分は花の咲くような笑顔で笑った。
「――ってことがあったんだけどさ。でもどうやって野分が俺の好きなもの発見するのかわからないわけ」
まだ先の話だが、やがて訪れる野分の誕生日に何を買えばいいのかさっぱり検討がつかなかった俺は、本を返すついでによった秋彦に尋ねてみることにした。
「さあな。自分で調べろ」
秋彦は俺から渡された本を本棚にもどしながら、淡白に答えた。
「聞いても、俺はいいです、しか言わねーから困ってるんだろ!」
「あー、あー、うるさいな。だいたい、弘樹。お前は自分の欲しいものをどのタイミングで聞かれているんだ?」
「え……?」
そういえば、俺はいつ野分に欲しいものを聞かれたんだ?
秋彦の言葉から最近の野分を思い返してみたが、思い当たる節がまったく無いことに気がつく。
俺の様子からさっぱり覚えていない事を悟ったらしい秋彦は、溜息をついた。
「そういうのは、誕生日だから何が欲しいですか?とかわざわざ聞かないもんだろ」
「なんでだよ?」
「相手の驚きが減るだろ。あとは、自分のことをきちんと見てくれているんだって喜びもプレゼントできる」
「……たしかにそうだな」
そう言われれば言われるほど、ますます野分は日ごろから俺の事チェックしてくれているんだと思って嬉しくなる。
「丸一日買い物の時の様子を観察してみろ。それじゃ俺はもう寝る」
ベッドに潜り込んだ秋彦は、出るならカギはかけてからポストに入れておいてくれとだけ言うとさっさと寝てしまった。
日ごろから気まぐれで変人な幼馴染だが、話の的は射ている。
「買い物の時に観察しろ……か」
とりあえず、手始めに野分を誘ってショッピングモールにでも行ってみることにした。
続き
<11/07/31>
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