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「まーた、律っちゃん失神してるよ・・・」
暗雲立ち込めるエメラルド編集部で原稿片手になんとか帰還した木佐は、床に転がる新人に苦笑した。
連日の徹夜と原稿があがらないことへのストレスも相まって小野寺はぴくりとも動かない。
「高野さん呼んでこようか?」
近くでパソコン相手にぶつぶつ呟いている美濃に確認するが返事は無い。
「しょーがないなー・・・」
一旦デスクに書類をすべて置きなおしてから、書類の洪水が起きている編集長のデスクへと向かった。
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「編集長、律っちゃんが寝てまーす」
「報告助かった。直々に引導を渡しに行く」
原稿のチェックを終えた木佐からありがたい情報を得た高野は、悪鬼のごとくまがまがしいオーラを放ちながらゆっくりと小野寺のデスクへと近づいていく。
高野の目の下にはくっきりとクマができ、顔色もかなり悪いが目だけはギラギラと輝いていた。
期日が迫ってくると何人も失神しているが、特に失神回数の多い小野寺の場合は、高野による制裁体制が整ってしまっていた。
今日はどうやって起こしてやろうか、とよく働かない頭であれこれ考えているうちにそう遠くないデスクまでたどり着く。
「ホントによく寝てやがる・・・」
椅子から転げ落ちた小野寺は、床に仰向けに倒れていた。
いつもの照れたような拗ねたような視線も閉じられた瞼の下に隠され、半開きの唇からすうすうと寝息が漏れている。
「おい、小野寺」
軽く呼んでみるが返事は無い。
「コイツ・・・、どうしてくれようか・・・」
とりあえず制裁内容を考えながら様子を見ていると、寝顔がふいに苦しそうな表情に変わる。
綺麗な歯並びがぎり、と固く噛み締められて、眉間に深い皺がよった。
「 」
何かを叫んでいるように口が動く。
「何、言ってんだ・・・?」
呼びかけようと手を伸ばしたタイミングで後ろから声がかかった。
「政宗、例の企画のことで話がある」
振り返らずともわかる横澤の声だった。
「ああ、今行く」
緊急だ、と急かす声に背中を押されて、小野寺を起こしそびれたまま会議室へと向かうことになった。
<11/09/05>
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