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水茎 -1-


「……なんだこれ……」

「どうした上條、そんな難しい顔して?」

あ、お前の場合はいつもだったな!と遠慮なく笑う宮城を睨んで黙らせてから、弘樹は提出されたレポートを読み返す。

「提出されたレポートを読んでいたんですけど、ちょっと知ってる奴と文体が似ているものがありまして……」

「ふーん……まぁ、何十人のも見てればそんな気もしてくるもんだろ?」

「それはそうですけど……」

宮城は弘樹をからかう以外にはその話題にさして興味もわかなかったらしく、今日の星占い!と大きく銘打たれた雑誌に目を落とした。



宮城の言うとおり、そんじょそこらの奴等のレポートならばそれこそ見飽きるほどに読んできた。


しかし、書き方、文体、文章構成の全てにおいて、明らかに今回のレポートは違った。

 


確かに似ているのだ、宇佐見秋彦に。


「名前は、と……高橋、美咲?」

女の名前だろうか?

それにしては提出されたレポートの手書きの表紙の字はかなり汚かった。

内容はパソコンで印字してあるので、筆跡まではわからない。


声には出さず、タカハシミサキと口にしてみると、なんとなく霞がかかったような不思議な気持ちになる。


美咲。


ミサキ。


……ミサキ。


はて、どこかで聞いたような。


「どこで聞いたんだろう……」


読めば読むほどに疑問が増えていく。

わかっていても相手が宇佐見とあっては、つい眉間に皺を寄せて本格的に悩み始めてしまう。


「ほら、悩んでないでさっさと評価つける!今日中につけないと帰さねーぞ」


頭が煮詰まり始めたころを見計らって宮城からありがたいお小言がとんだ。

「すみません」

弘樹はおざなりに謝辞を述べると、評価をつけるべくノートパソコンに座りなおした。



続き

<11/07/26>
 

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