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ついにトリチアを描く時がくるとは……という感じです笑
せなぴすさん、リクありがとうございました!
携帯の方にはあげたのですが、PCサイトの方でいらっしゃった方用にこっちにもあげておきます。
小説の扉絵から派生した妄想的な・・・?
続きからどうぞ!
『おきるまでおこすな』
そう書いた主は、大量の原稿用紙に囲まれてすやすや寝息をたてていた。
「ったく……、無事に脱稿できたからいいものの……」
もしこれが全て次の号に掲載する原稿だったらと思うと、もう胃痛を通り越して吐き気がこみ上げてくるところだった。
本当によく描きおわった、というのが今回にも言える感想だ。
「毎回毎回、少しは余裕を持って描けばいいのに、どうしてギリギリまで溜めるんだ」
思い返せば、夏休みの宿題から大学に言っていた頃の課題まで、とにかく吉野はやるべきことを溜める。
そして結局は羽鳥に泣きつくのだった。
『トリ、一生のお願い!次はちゃんと頑張るから今回だけ……!』
と、使ったお願いはもう一生どころの騒ぎではなく、来世も来来世も来来来世……という単語があるか俺は知らないが、とにかくそれくらいの分は前借りしている。
一生のお願いでなくとも、炊事、洗濯に始まり何から何まで聞いてやっているのだ。
「永久就職してもらわないと割が合わないな」
といいつつ、していることはむしろこちらが嫁に入ったようであるけれど。
自分の溜息だけが響く部屋に、小さく吉野の声がした。
「……トリ……」
「なんだ?」
むにゃむにゃと寝返りをうった顔がこちらへ向く。
「だい、す、き」
「…………」
幸せそうな寝顔を見ていると、連日の徹夜のツケが回ってきたように猛烈な眠気が襲ってきた。
「本当に、お前は……放っておけない……」
かろうじて傍にあったコピックで吉野への伝言を書き、そっと眠る吉野の眦にキスを落とすと、そのまま静かに意識が暗転した。
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『起きたらすぐ起こせ』
目の前に大きな焼き鳥が置いてあった。
そして、エプロンをつけた羽鳥もいる。
「千秋、早く食えよ。お前、好きだろ?」
なぜかその羽鳥が盛んに勧めてくるのだ、焼き鳥を。
「え?あ、うん」
俺は、なんで焼き鳥だけなんだろ?ご飯もビールも何も無いけど、とかそんなことを考えていた。
でもすぐにもうどうでもいいかってなっていつもどおり、出されたとおりの物を口に入れた。
焼きたての鶏肉はとても香ばしくて、口の中に肉汁が香ばしく広がった。
「うまいっ!!さすが、トリ!大好き!」
あまりの美味さに舌鼓をうっていると、ふいに羽鳥の顔が近くなる。
ああ、キスすんの?今、コレ食べてるんだけど。
食べながらしゃべっちゃいけねーのに、食べながらキスはしていいんだな、変な感じ。
「ちょ、トリ……」
唇が触れた、と思ったら世界が暗転して俺の部屋と大量の原稿用紙に変わった。
「……あれ、俺、寝てたのか」
眠い目を擦りながら身体を起こすと、何が大きなものに抱えられていることに気づく。
「トリ……?」
すぐ脇にある顔は確かに幼馴染の顔で、すうすうと寝息をたてている。
「来てたのか……ん?なにコレ」
傍に散らばっている原稿用紙の中には自分が書いたものと別にもう一枚なにか書かれている紙があった。
「『起きたらすぐ起こせ』……」
こんなに気持ちよさそうに眠っているのに?
あいにく俺はそこまで酷いやつではない。
「たまにはゆっくり寝るのも仕事、だよな」
そっともたれているクッションの位置を直してやる。
うんうんと自分の行為に満足していると、インターホンが鳴った。
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『羽鳥のバーカ』
「千秋、入るぞー」
ドアを開けに起き上がるまでもなく、柳瀬は勝手知ったる様子で部屋に入ってきた。
「優、いらっしゃい」
「いらっしゃいって……」
なんで羽鳥寝てんの?とひどく不愉快そうに柳瀬が眉根を寄せた。
「昼寝しちゃったら、トリが来てたみたいでさ。入れ違いで寝ちゃったみたいだ」
「入れ違いで昼寝?相変わらず、お前らってズレてんな……」
柳瀬は、寝ている千秋の邪魔にならないように羽鳥を挟んで後ろに腰を下ろす。
「これなに?」
座るとすぐに目に入った二枚の走り書きを眺めた。
「あー、これトリからの伝言」
そんで、こっちが俺の、と二枚を取り上げると、
「なるほど……」
何か思いついたといった風貌で柳瀬が笑みを浮かべた。
「コピックで羽鳥にヒゲ書いてやろうぜ!」
「え?!」
「描いとけばすぐには会社戻れねーだろ。どうせ重度のワーカーホリックなんだから、無理にでも休ませちまえ」
そう言われればそうかもしれない。
「そういうことなら乗った!」
「さっすが千秋!」
優こそ、我が親友!とお互いを称えながら、コピックに手をかける。
描きやすい位置にいたため、そのままゆっくりコピックを手に羽鳥に顔を近づける。
と、
「ちあき……?」
もぞもぞと大きな体躯が動いて、ぼんやりと焦点の合わない目が開かれた。
「うわ、やべっ」
「千秋、コピック!」
こっち、と助け舟を入れた柳瀬の手が出された。
「わ、わかった」
羽鳥を刺激しないようにそっと受け渡すと、再び羽鳥の方へと向き直る。
「……千秋」
ぼーっとしたまま自分を見上げる瞳がどこかかわいくて、ついまじまじと見てしまう。
「普段は、吉野、原稿!とか言ってるクセに」
へーんなのーと棒読みに言葉を発しながら、柳瀬は原稿用紙に何かを書き込んでいく。
「…………」
小さな言葉だったが、柳瀬の告白を断ってしまった今は、それがちくりと心に刺さる。
「ほら、出来たぜ。この俺が一筆したためてやったんだ。ありがたく思えよ」
「は?」
何のことだ?と訝しげな羽鳥がゆっくりと上半身を起こした。
「ああ、優がなんか描いてくれた……って、おい!」
柳瀬がぴらりと見せた原稿用紙には、
『羽鳥のバーカ』
の文字がご丁寧に矢印つきで大きく踊っていた。
慌てて見られないように羽鳥を押さえる。
またこれで余計ないざこざを起こされてはたまらない。
「なんだいきなり」
「ト、トリ、ちょっとまだ寝てていいから!」
ニヤニヤと笑う柳瀬を隠すのに大慌てで羽鳥を抑えるハメになったのだった……。
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